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【パンチャカルマリトリート3週間体験記】中心処置

更新日:9月18日

3回目の投稿も、すっかり間が空いてしまいましたが、その間に再びケララで過ごしておりました。

8月は日本から14名の方がセンターに1週間滞在され、私は現地でのさまざまなお世話をさせていただきました。

とはいえ、ほとんどの方が私の日本でのヨガの生徒さんや、すでにお会いしたことのある方ばかりでしたので、毎日歓談も楽しみながら過ごすことができました。



さて、6月のパンチャカルマ体験から時間が経ち、記憶も少しずつ薄れてきましたが、ここで改めて思い出しながら、そして自分の中で再び体現しながら綴ってみたいと思います。


いよいよ治療の中心となるプロセスに入り、6日目からは本格的な処置が始まります。

では、その内容を以下にまとめてみます。


〜中心処置となるもの〜

Day6:ヴィレーチャナ(下剤療法)

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パンチャカルマの主要な浄化法のひとつで、薬草を使って体内にたまった毒素や余分なピッタ(火のエネルギー)を排出する療法です。 これを飲んだ後、数回に分けて回に分けてトイレに行くことになり、

出でる度に体力は消耗され、その日はほぼ1日をお部屋で過ごしますが、午後にはぐったり…

体に心地よい疲労感があり、午後はゆったり休養します。


この日は特別に朝食抜き・昼食はお粥のみという食事制限があり、胃腸を優しく休ませながら排出の効果を最大限に高めていきます。 私の場合は、このヴィレーチャナとバスティを中心に行いました。


Day7〜:日本とインド国内からの参加者が到着


私のデトックスの山場を越えたタイミングで、日本から、そしてインド国内からも新たな参加者が到着。

それまで一人で静かに過ごしていたリトリートが、いよいよ「みんなで分かち合うリトリート」へと変わっていきました。 正直、パンチャカルマを受けつつコンサルテーションの通訳や滞在中のサポート全般を果たせるのかという懸念もありました。 しかし今回は、前回に比べて治療による身体的な負担が軽く、加えて心の安定も得られていたため、特に乱れることなく過ごすことができました。

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施術の時間はもちろんそれぞれに集中するのですが、合間の時間はとても穏やかで心地よい交流のひととき。 グループに分かれて近場のビーチへ散歩に出かけたり、帰国前にはモールへお土産を買いに行ったり。 施術と休養に加え、そんな小さな楽しみも心に残る思い出となりました。



Day7〜13:ナスヤ(鼻の浄化療法)


薬草オイルや煎じ液を鼻に点鼻し、頭部や首、肩まわりの浄化を促します。鼻づまりや副鼻腔の不調、頭痛、肩こり、集中力の低下などにも効果があると言われています。



Day14〜19:バスティ(浣腸療法)


パンチャカルマの「王」とも呼ばれる療法で、薬草オイルや煎じ液を用いた浣腸です。 腸内の浄化を通して、ヴァータ(風のエネルギー)のバランスを整えるのが目的。 腰痛、関節のこわばり、神経系の不調にまで効果があるとされ、古典の中でも非常に重要視されている処置です。 ヴァータは「動き」を司り、呼吸・血液の循環・神経伝達・排泄など、体のあらゆる働きをコントロールしており、そのヴァータの本拠地は「大腸」。 つまり、大腸を直接ケアできるバスティは、全身の調整に直結するのです。

施術は数日間にわたり、大小のバスティを交互に行う形で進みました。 オイルの量が多い日と少ない日を繰り返しながら、解毒と滋養を同時に行い、腸の中をやさしく洗い流し、必要な潤いを与えていきます。



〜様々なトリートメント〜

Day6〜20:

中心処置の合間にも、アビヤンガ(全身オイルマッサージ)はじめ、シーロダーラ、その他さまざまな薬草やオイルを使ったトリートメント受けました。


油剤療法

  • マルママッサージ=マルマ(エネルギーポイント)を刺激するもの

  • シンクロナイズド・アビヤンガ=2人のセラピストが同時に行う

  • チューヴァティ・ウッザーチル=足で踏むように行うケララ式

  • ナスヤ(鼻の治療)

  • ネトラタルパナ(目のオイル治療)

  • カルナ・ドゥーマパーナ(耳に薬草の煙を入れる施術)


発汗療法

  • エラキリ(薬草の葉を炒めたポットでマッサージ)

  • ポディキリ(乾燥薬草の粉末を布で包んで押し当てる)

  • ナヴァラキリ(ケララ特有の薬用米をミルクで煮て温湿布のように用いる)


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リトリートの期間中、とにかく全身オイル漬けの日々。 外からもオイル、中からもオイル…。 アビヤンガ(全身オイルマッサージ)、ナスヤ(鼻の浄化)、バスティ(浣腸療法)など、ほぼ毎日どこかしらにオイルが入っていきます。 「ここまでやる必要があるの?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、アーユルヴェーダの古典書をひもとくと、その理由が見えてきます。

なぜオイルなのか ― 古典書の視点



アーユルヴェーダの古典『チャラカ・サンヒター』や『スシュルタ・サンヒター』には、スネハナ(オイル塗布・油剤服用)が繰り返し強調されています。


ポイントは大きく3つあります。


  1. 乾きを潤す

    人の体は加齢やストレス、過労などで「乾燥(ヴァータの乱れ)」が進みます。 オイルはその乾きを補い、組織を柔らかく保つ働きがあります。

  2. 浸透し、毒素をゆるめる

    オイルは皮膚や組織に浸透し、体内にこびりついたアーマ(未消化物・毒素)をゆるめ、移動しやすくしてくれます。 これが後のパンチャカルマにおける排出法(ヴィレーチャナやバスティ)につながります。

  3. 滋養と安定を与える

    油は「オージャス(生命エネルギー)」を養い、心身に安定感と落ち着きをもたらすとされます。


中心処置(パンチャカルマ)期間:食事について

7日目から、ようやく常食に。 中でも空腹で味わう朝食は毎日の楽しみの一つ。

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こちらはほぼ毎日いただいてた、”ギードーサ”と”スチームドバナナ”はお気に入りの定番メニューです。


パンチャカルマの期間中は、食事そのものが治療の一部として扱われます。 オイルや浄化療法で体内に働きかけているため、同時に消化器官への負担を最小限に抑えることが大切だからです。

しかし、アーユルヴェーダ治療中とはいえ、3回の食事は楽しみたい!

厳格な食事制限で楽しみを失いたくない! そんな願いが、ここでは自然に叶います。 シンプルながらも体が求める味わいがあり、食べるたびに満たされる感覚が味わえます。



ヴィレーチャナ(下剤療法)の日

朝食はなし、昼食はシンプルなお粥のみ。

消化をやさしく保ちながら、体内の毒素をしっかり排出させることに集中します。


それ以外の日

「常食」です。 とは言っても、センターで出される食事はとても消化に優しく整えられています。


  • 消化しやすい軽い性質の豆類や野菜の煮込み

  • 油やスパイスは控えめで軽やか

  • 温かく、胃腸に負担をかけない味つけ


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シンプルながらも体が欲しているものを満たしてくれる食事で、食後の重だるさや罪悪感がなく、内臓がどんどん軽くなっていく実感がとても心地良い。

 常食に変わる日から、薬草の服用も始まります。


最後に..... 体験を通じて感じたこと



オイル漬けの日々を過ごす中で、肌の質感や体の軽さが変わるだけでなく、心も穏やかになり、眠りも深くなっていきました。 古典書が伝える「オイルは心身を柔らかくする」という言葉を実感できます。


そして何よりも毎回感動するのは、明らかに思考がクリアになり、心が安定するというメンタル面でのデトックス効果です。 からだの調子が整うだけでなく、健康そのものが日を追うごとに積み重なっていくような感覚。


私はここ数年、年に一度のペースでパンチャカルマを受けています。

そのたびに感じるのは、どんどん「健幸度」が増していくこと。


例えば、具体的な変化というと…


・慢性的な疲労感が軽くなる

・気になっていた抜け毛がなくなった

・ホルモンバランスが整い生理前の辛さがなくなった

・消化力が高まり、食後の重だるさや眠気がなくなる ・ここ数年、大きな病気もなければ、薬(西洋医学の)を飲むほどの病気さえ罹ってない


といった身体面での変化に加えて、


・人に対して優しく、穏やかに過ごせる

・これまでなら気にしていたことも、受け入れられる心でいられる

・記憶力が増した(ように感じる)


など、精神面での変化は、思いがけないけれど本当にありがたい副産物です。



こうした変化が少しずつ積み重なり、毎年「前回より健幸度が上がっている」と実感できるのです。


パンチャカルマは単なるデトックスではなく、体質に合わせてオイルや処置が行われるため、続けるほどに深いレベルで心身が整っていきます。


まさに「年ごとに新しい自分に生まれ変わる」ような体験です。


パンチャカルマは、体調不良や不調がある人だけのためのものではありません。 健康な人こそ、より健やかに、より自分らしく生きるために体験していただきたい。 改めてそんな強い想いを持ちました。 そして、アーユルヴェーダの良さを少しでも多くの人に伝えたい

そのためにも自分自身が健幸でいることに努めようと思います。

 
 
 

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