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【パンチャカルマリトリート3週間体験記】前処置(前編)

更新日:7月10日


インドのモンスーンの中、深い浄化と再生を求めて…

ケララ でのパンチャカルマリトリート体験


6月に開催したケララでのパンチャカルマリトリートの体験記を、少しずつ残していこうと思います。

また、アーユルヴェーダのトリートメントに関連する専門用語を、初めての方にもわかりやすいように解説を加えながら整理していきたいと思います。



私自身、日常生活(食事・睡眠・運動など全般)にアーユルヴェーダを取り入れています。

毎朝のセルフアビヤンガに加え、週1〜2回はクリニックに通ってトリートメントを受けるなど、セルフケアを習慣にしています。


また、年に1〜2回はケララに滞在し、センターで1週間のトリートメントを受けていますが、今回で2週間以上かけて行う本格的なパンチャカルマは人生で4回目になります。 これだけ毎日オイルに浸ってセルフケアを続け、年に何度もトリートメントを受けているのに、

「どこか不調があるの?」

と思われた方もいるかもしれません。


至って健康だと思います。

コロナに罹って以来、これといった病気もなく、健康診断でも引っかかるような数値は出ていません。

これは、現代医学で言うところの「健康」です。


ただ、アーユルヴェーダの健康の定義で考えると、完全な健康を保っている人は実際のところ少ないのではないでしょうか。

(定義の詳細についてはここでは割愛します)


では、なぜパンチャカルマを続けるのか?


それは、


より健康になり、健康を維持するため。

歳を重ねても痛みや病気で苦しむことなく元気でいたい。


そして、

心身ともに健康な状態で、今世を全うしたいからです。


アーユルヴェーダの本質を頭だけではなく、体と心と魂で理解したい。 それが私がアーユルヴェーダを学び、実践し続ける理由です。


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6日後に日本やデリーから参加される皆さんを迎える前に、前乗りしてケララに3週間滞在し、19日間のパンチャカルマをスタートしました。


2012年に初めて訪れたこのパンチャカルマセンターは、リトリートだけでなく個人的な滞在でも何度も利用しており、信頼できるドクターとセラピストのもと、安心して過ごせる場所です。


到着すると、見慣れた赤レンガの建物とヤシの木、青空のコントラストが美しく、ここから始まる静かな時間に安堵感と心がほぐれていくのを感じました。


初日はドクターの問診を受けて、私のトリートメント内容と19日間のプログラムが決まります。


今回の目的でもある “パンチャカルマ” について、少し説明します。



【パンチャカルマのプロセス】


パンチャカルマ(Panchakarma)は、アーユルヴェーダの浄化療法であり、

現代の「デトックス」や「リセット」の概念を超えて、体・心・感覚・魂の深層に溜まったアーマ(未消化物・毒素)を排出し、自然治癒力を回復させるプログラムです。


パンチャカルマで何をするのか?


サンスクリット語で「パンチャ=5」「カルマ=行為」。

つまり 5つの浄化法 で構成されています。


以下の5つの手法が基本:


  1. ヴァマナ(Vamana):催吐療法(体内の余分なカパを排出)

  2. ヴィレチャナ(Virechana):下剤療法(ピッタの排出)

  3. バスティ(Basti):浣腸療法(ヴァータの調整)

  4. ナスヤ(Nasya):鼻腔浄化療法

  5. ラクタモクシャナ(Raktamokshana):瀉血療法(血液の浄化)


ただし 全てを行うわけではなく、体質・体調・目的に合わせて施術内容が個別に組まれるのが特徴です。



パンチャカルマの基本プロセス


パンチャカルマは大きく 3段階 に分かれます。


① 前処置(プルヴァカルマ:Purvakarma)


毒素を浮かせて体外に排出しやすくする準備段階。 大きく分けて以下の2つの方法で体内のアーマ(毒素)を溶かし、循環させ、排出しやすくします。


  1. スネハナ(Snehana):ギーやオイルの内服・オイルマッサージ(アビヤンガ)

  2. スウェーダナ(Swedana):発汗療法



② 本処置(プラダナカルマ:Pradhana Karma)


個別に組まれる5つの浄化療法のうち、必要なものを実施。


例:今回の私の1週間かけて行ったプログラム

  • ヴィレチャナ(下剤療法)で腸の浄化

  • バスティ(オイル浣腸)でヴァータのバランス調整

  • ナスヤ(鼻腔浄化)で頭部・鼻・副鼻腔のクリアリング


このプロセスが パンチャカルマの中心部分です。



③ 後処置(パシュチャートカルマ:Paschat Karma)


治療後のリハビリ・回復期。 日常での養生。


  • 消化力を回復させるための軽食・養生食

  • 軽いヨガ・呼吸法・瞑想で体力とメンタルの安定

  • ラサーヤナ(Rasayana:若返り・再生療法)



今回私が体験している 3週間パンチャカルマリトリート は、

このプロセスをドクターの診察のもと、体調や心の状態に合わせながら進められています。



さて、前置きが長くなりましたが、ここからが私が実際に行ったトリートメント(治療)です。


Day1〜Day5:ギーを飲む日


初日から約1週間はパンチャカルマの準備段階(かかる日数は個人差あり)。

朝、ドクターの脈診を受けて体質と状態に合わせた**メディケートギー(ハーブ入り精製バターのオイル)**を朝の空腹時に飲みます。

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オイル(メディケートギー)を内服する療法を「スネハパーナ(Snehapana )」と言います。


スネハパーナは パンチャカルマの前処置の重要ステップで、このギーが体内のアーマ(未消化物)を溶かし、毒出し準備を進める大切なプロセス。

初日は20mlから始まり、徐々に量が増えていきます。 (これが結構キツイ…)


ギーを飲んだ後はお腹を空に保ち、温かいジンジャーティーを飲みながら静かに過ごします。


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こちらが昼食。 ギーを飲む期間中の昼食はライススープ、夕食は消化に優しい軽食が提供されます。

このライススープが、まさに日本のお粥のようで美味しいんです。

テラスで緑を眺めながら、ゆっくり味わいました。

Day1:発熱と浄化の夜、そしてトリートメント


到着した日の夜中、筋肉痛と体が火照り、汗が流れる夜を過ごしました。

3年ぶりの風邪からの発熱。

もはや体がデトックスを始めた合図のようで、不思議と怖くありませんでした。 夜間勤務のDr.に電話し、薬を処方してもらいました。 もちろん、ハーブの薬ですが、その場で煎じたものを2種類出され、その後すぐに就寝。


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朝にはすっかり熱も下がり、体がすっきりと軽くなり、呼吸が深くなったのを感じました。

その後の自室でのヨガではさらに体が軽くなり、いつもに増して深く集中できました。


初日は、Dr.の問診後に本格的なトリートメントがスタート。

私の今のドーシャ(体質)に合わせたトリートメントがドクターの指示で決まり、**『私だけのプログラム』**が始まります。


毎朝の内服オイル(ギー)に始まり、皮膚からもオイルをたっぷりすり込む アビヤンガ、

ハーバルバス、キリ(ハーブボール)、膝の痛みを改善するための ジャヌバスティ(膝に温かい薬草オイルを溜める施術) など、約3時間のトリートメントを受けました。



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自然の風が吹き込む、広く開放的で清潔感のあるトリートメント室で、10年以上お世話になっている専属セラピストに身を委ねます。


トリートメント中、このシンプルな部屋の窓を通り抜ける風と、ヤシの葉が揺れる音が、いつも心を落ち着けてくれます。


19日間、必ず毎日のプログラムの初めに受ける、全身のオイルトリートメント「アビヤンガ」

アビヤンガ

の語源はサンスクリット語で「全身に塗る」という意味があり、ただのリラクゼーションではなく、身体の浄化・毒素排出(デトックス)、血行促進、神経系のバランス調整を目的としたトリートメントです。 パンチャカルマの一環、もしくは日々の健康維持のための重要な実践として位置付けられています。



温かい掌から温かいオイルが、頭から足先までくまなく全身に流れ染み込み、普段使わない内側の緊張がじわじわとほぐれていく感覚があります。


流れていくのは時間だけでなく、自分の中に積もっていた「不要なもの」なのかもしれません。



まだ前処置の段階ですが、この落ち着いた静かな環境のおかげもあり、わずか2日目にして睡眠の質が向上しました。

昔から、上の血圧が90を切る低血圧のせいもあって、普段は朝がとても苦手な私ですが、翌朝はアラームなしの自然な目覚めでいつもよりスムーズに起床し、日中も体が軽やかで心地よく、快適に過ごすことができました。



2日目以降も、同じプロセスでのトリートメントが5日間続きます。


次回予告


Day3以降は、パンチャカルマの準備がさらに深まっていく日々。

どんな変化が訪れるのか、自分の体と心で感じたことを鮮明に思い出しながら綴っていきます。

 
 
 

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